《園児ふたハ》ミッション!先生に発表会の衣装をわたす。
発表会の準備の話です。数少ない保育園の頃の記憶の中で、未だに覚えている思い出の一つです。
運動会や発表会のような特別な日ではなく日常の一場面ですが、私の中では大きな出来事でした。
保育園に入園して半年たったころ…。
泣きながらも毎日登園し、まともに話せない日々が続いていました。ですが、少し保育園に慣れたおかげか超小声でひと言程度の会話はできていたように覚えています。
やっと通常の保育日に慣れてきたのに、場面緘黙症の私にとってはハードル高めな行事である発表会が近づいていました。
この時点で、発表会がどんなものなのか、よく分かっていませんでした。しかし、なんとなく周りの雰囲気の変化を察知して、ソワソワした気持ちで過ごしていました。
そんなある日のことです。
(先生)「明日、職員室にいる先生に衣装を渡しに来てね。渡すときに”おねがいします!”と言えるとステキだよ~!」
突然のミッション発表に固まる私。
ミッション1 職員室に行けるのか
ミッション2 先生に渡せるのか
ミッション3 「おねがいします。」と言えるのか
ただ家から持ってきた衣装を先生に渡すだけのことです。1分もあれば、ほとんどの子ができることだと思います。しかし、私にとっては難しかったのです。
《園児ふたハ》母からのプレッシャー!登園しぶりMAX‼
帰宅すると、事前に保育園から聞いていたようで、すでに衣装が用意されていました。
(母)「明日絶対に渡してきてね!」
と言って、母は登園カバンに衣装を入れました。
母にとってはいつも通りの会話でした。私は「うん。」と返事をしましたが、内心では明日先生に渡せるのか不安でいっぱいでした。
(ふたハの心) 渡せなかったらお母さん怒るだろうな…。どうしよう…。
その夜、頭の中でシュミレーションをしてみました。
(ふたハの心) 何回イメージしてもどうしても渡せない…。渡せないとお母さんに怒られる…。明日保育園に行きたくない!!
その結果、朝起きた瞬間に押し入れの中に隠れました。すぐ見つかりましたけどね…。
(母)「先生に衣装を渡すの忘れないようにね!」
なんとか登園して、別れ際に念を押して母は去っていきました。
クラスのみんなは難なく職員室に行き、ほとんどの子が渡し終わりました。私は結局渡せないままその日は終わってしまいました。
先生に渡せなかったことで予想通り母には怒られ、完全に自信喪失です。
渡しに行かないといけないのは分かっています。渡さないと怒られることも分かっています。でも、どうしても体が動かないし言葉が出てこないのです。
(母)「明日は絶対に渡してきてね。もう他のみんな渡しているよ。渡していないのはふたハだけだよ。」
(ふたハの心) プレッシャーかけないで~。私だってわかってるよ。明日保育園行きたくないよ~。
そして、翌朝も家中を隠れてみたり逃げてみたりしましたが…。この日も泣きながら登園しました。
《園児ふたハ》友達と一緒にミッションを無事に終えて/一歩踏み出せた勇気と芽生えた少しの自信
(ふたハの心) 今日こそは渡す!
気持ちはあるものの体は動かず。職員室近くの階段で衣装を抱えて座り込んでいました。
気づくと私の隣にまだ衣装を出せていない子が隣に座っていました。あと衣装を渡せていないのは私とその子の2人のようです。
(ふたハの心) 自分だけじゃなかったんだ!

お互いに会話をすることはなく、しばらく2人で座っていました。
最終的には、先生が付き添って、その子と一緒に渡すことができました。「おねがいします!」と言えたかどうかは覚えていませんが…。
先生に渡せた瞬間はホッとした気持ちがあふれてきました。また、友達と先生に付き添ってもらったものの自分でできたことで少し自信につながりました。

《ぱんタ/自閉スペクトラム症/ASD》小さなチャレンジの積み重ねが大きな自信につながる。
先生に衣装をわたすだけの話で、覚えていない人がほとんどだと思います。でも、私にとってはすごく記憶に残っていて大事な思い出の一つです。
全体的には嫌な思い出として残っていますが、一歩踏み出せて少し自信が持てるようになった思い出でもあります。
人が成長するためにチャレンジは必要です。

私はせっかちなので、いきなり難題にぶつかって
痛い思いや辛い思いをたくさんしました💦
無理そうだなと思った時は少し目標を小さくしてスモールステップを重ねていくと、自信につながりますし、いつの間にか越えられるようになっています。
ぱんタは、失敗や間違いをすごく嫌がります。ぱんタが自分でできるイメージが持てないと、やらずに避けてしまう傾向があります。そのため、課題や目標を薄くスライスして、小さな「できた!」を積み重ねながらたくさん課題を越えてきました。
薄くスライスしている分、できるまでに時間はかかってしまいますが、”最終的にできているなら良し!”と私は考えています。そのため、これからもぱんタと一緒にスモールステップでチャレンジをし続けていきたいです。