わが家のASDの息子は、3歳のころから地域の療育園に2年間、親子通園で通いました。
通園を決める前は、

療育園ってどんなことをする場所なんだろう?

親子通園って大変そう…

1日の流れはどんな感じなんだろう?
と、分からないことばかりで不安が大きかったのを覚えています。
けれど、実際に通い始めてみると、毎日の登園を通して息子の特性をより深く理解できるようになり、前向きに支えてくれる先生たちの存在に何度も助けられました。
そして、息子と一緒に過ごす時間の中で、親である私自身も少しずつ成長できました。
この記事では、2年間のわが家の実体験をもとに、療育園がどんな場所でどんな活動をするのかをまとめました。
これから療育園を検討しているママやパパの不安が、少しでも軽くなればうれしいです。
療育園はどんな場所?どんな子が通っているの?
療育園は、発達に気になるところがある子どもが、安心して過ごしながら成長をサポートしてもらえる場所です。
子どもの「得意」や「苦手」を理解したうえで、遊びや活動を通して少しずつできることを増やしていける環境が整っています。
わが家も2年間通いましたが、家庭だけでは気づけなかった特性や、息子との関わり方のヒントをたくさんもらうことができました。
療育園の目的と役割
療育園では、
これらの目的を目指しながら、子どもの発達のサポートを行っています。
療育園で行われる活動は、一人ひとりの発達段階に合わせて考えられており、同じ活動に参加していても、目標や課題はそれぞれ違います。
わが家で実際に設定した目標の例

どんなことで困っているのか、どの部分に不安があるのかを整理して先生に相談すると、より具体的な支援につながります。
療育園に通っている子どもの特徴
療育園に通う子どもたちは本当にさまざまで、教室はいつもにぎやかな雰囲気でした。
わが家が通った療育園では、未就学児が対象で、2歳〜年長くらいの子が通っていました。
利用の仕方は家庭によって以下のように異なります。
そのため、人数は日によって数組の日もあれば、20組ほどの日もありました。
また、診断の有無に関係なく、次のような理由で通っている家庭が多い印象です。

わが家は、言葉のおくれと集団活動のむずかしさがきっかけで相談に行き、通園が始まりました。
親子通園と単独通園の違い
療育園には大きく分けて「親子通園」と「単独通園」の2つのスタイルがあります。
園によって呼び方は違っても、内容は似ていることが多いです。
親子通園(保護者も一緒に通う)
親子通園の特徴

わが家も親子通園からスタート!
単独通園(子どもだけで通う)
単独通園の特徴
なお、園によっては、
など、スタイルはさまざまです。

わが家が通った療育園では、年中までは親子通園、年長から単独通園が選択できる仕組みでした。
親子通園 → 保育園・幼稚園へ移行するケースも
わが家の場合は、息子が年中のころから、親子通園と並行して少しずつ幼稚園に慣れていきました。
息子の負担にならないよう、先生がタイミングを慎重に見極めてくれ、半年ほどかけてゆっくりと幼稚園へ移行することができました。
実際に通って感じた親子通園のメリット
わが家が2年間通った療育園は、親子通園が中心のスタイルでした。

親が一緒に行くって、どんな感じなんだろう…?

毎日通えるかな?
そのため、最初は不安がたくさんありました。
でも、ふり返ってみると 親子通園だったからこそ得られたものがたくさんあったと感じています。
ここでは、実際に通って感じた親子通園のメリットを3つの視点からまとめました。
メリット① 子どもの特性を深く理解できる
一つ目の親子通園のメリットは、園での子どもの姿をそのまま見られることです。
家庭では気づけなかった子どもの特徴を、集団の環境だからこそ見えてくることがあります。
たとえば、
家ではなんとなくの困りごとだった場面も、先生と一緒にじっくり理由を探っていくことで、原因がはっきり見えてくるようになりました。
息子の例:切り替えの苦手さがスムーズに
息子は、自由遊びから次の活動へ移る「切り替え」がとても苦手でした。
そこで先生が、
「次の行動を視覚的に示すとスムーズになりますよ」
と、時計を見せながら5分前に予告する声かけ方法を見せてくれました。
実際に先生の関わり方を見ることで、私自身も「こういう伝え方なら分かりやすいんだ」と納得でき、家でも同じ方法を取り入れるようになりました。
子どもとじっくり向き合う時間がもてる
また、親子通園の時間は、子どもだけにしっかり向き合える貴重な時間でした。

家では家事や用事に追われて、つい息子との時間を後回しにしてしまっていて…
そんな私でも、療育中は息子の姿をゆっくり見守ることができ、毎日の小さな変化や成長を一番近くで感じられました。
メリット② 先生にすぐ相談できる安心感がある
二つ目のメリットは、親子通園は、家庭と園が一緒に子どもを見守る体制が整っていることです。
活動中はもちろん、帰り際のちょっとした雑談の中でも、先生に気軽に相談できます。

家でこんな様子だけど大丈夫?

こんなことで困っていて…どう関わればいいのか?

このこだわりにはどう対応したらいい?
こうした質問をその場でなるべく早く相談できる安心感は、親子通園ならではです。
そして、相談を積み重ねることで、子どもの理解が深まり、関わり方も安定していきます。
また、最初は相談すること自体に緊張していた私ですが、毎日先生と話すうちに少しずつ慣れて、困った時は誰かに相談できるようになりました。
悩みを共有しながら、子どもの様子を一緒に見守る関係が築けたことは、私にとっても大きな支えでした。
この経験は、幼稚園や小学校の先生と連携する際にも大きく役立っています。
メリット③ 子どもと一緒に親も成長できる
親子通園で得られたものは、子どもの成長だけではありません。
三つ目のメリットは、私自身の考え方が大きく変わったことです。
通園する中で、私の中にはこんな変化がありました。
息子のできることが増えると同時に、親である私も成長し、関わり方も変わっていきました。
それは、親子通園というスタイルだからこその経験だったと思います。

息子のために通い始めたはずなのに、気づけば私の方が支えてもらっていました。
2年間通った療育園の1日の流れ|わが家の体験談
わが家が通っていた療育園は、朝9時登園・14時降園の親子通園スタイルでした。
ここでは、実際に2年間通って感じた「療育園の1日の流れ」を、わが家の例として紹介します。

療育園によって内容は少しずつ違うので、「こんなイメージなんだな」という参考にしてください!
ステップ① 登園~朝の支度
朝はおやこで一緒に登園します。

登園するだけでひと騒動…という日もよくありました
療育室に入ったら、先生にあいさつをして出席シールを貼ります。
その後は、
など、朝の準備を自分で進めます。

始めのうちは、支度だけで30分かかる日も…
手伝いながら、見守りながら、毎日同じ手順を繰り返すことで、少しずつ息子のペースでできるようになりました。
先生も「ゆっくりで大丈夫だよ」と声をかけてくれるので、焦らず準備に取り組めました。
ステップ② 自由遊び
支度の終わった子から自由遊びへ。
ブロック、車、ままごと、パズル、粘土、お絵かきなど、発達段階に合わせた遊びが豊富です。
ただし、通った療育園では、最初に選んだ子がそのおもちゃで優先的に遊べるルールがあり、貸し借りの場面でも無理に共有させず、一人でとことん遊ぶことも尊重されます。
息子は遊びのこだわりが強く、年中くらいまでは友達と一緒に遊ぶのが難しいタイプでした。

このルールのおかげで、安心して息子の遊びに集中できました!
その一方で、他の子が遊びたいおもちゃをすでに使っていることもあります。
そのときは「かして?」と声をかけ、相手が「いいよ」と言ってくれたら、おもちゃを共有して遊べます。
でも、いつも貸してもらえるわけではありません。
そんな場面もたくさんありました。
でも、その積み重ねが、「気持ちを切り替える」「あきらめる」という練習にもなっていて、息子なりに少しずつ受け止められるようになっていきました。
ステップ③ 朝のあつまり
朝のあつまりの時間になったら、遊んでいたおもちゃを片づけます。
そして、自分でイスを持ってきて1列に座って行います。
通っていた療育園では、このような内容でした。
部屋から出ていってしまったり、イスに座れなかったり、座って参加するのが苦手な子がたくさんいました。

始めの頃の息子も、ほとんど参加できませんでした…
でも、先生は子どものペースに合わせて、
と声かけをするなど、柔軟に対応しているのが印象的でした。
息子も、毎日繰り返し伝えることで、少しずつ座って参加できるようになり、卒園のころには体操や歌もみんなと一緒に楽しめるようになりました。
ステップ④ 集団活動
通っていた療育園では、その月のテーマに合わせて、運動や制作などの活動を行います。
「順番を待つ」「模倣する」「最後までやる」などのねらいがあり、少人数で丁寧に取り組んでいきます。

毎日一緒に参加する中で、息子の「小さなできた!」に気づけるようになりました!
また、先生も近くでフォローしてくれ、息子自身も小さな成功体験をたくさん積み重ねることができました。
ステップ⑤ 給食
お昼はみんなで給食です。

親子通園のため、親も一緒に食べました!
など、給食の時間も子どものできるを増やすための大事な学びの場でした。
偏食が強かった息子は、初めはほとんど食べられませんでしたが、先生と一緒に段階を踏んで取り組むことで、食べられるものが徐々に増えていきました。
家庭だけでは難しかった部分を、園と一緒に支えてもらえて助かりました。
ステップ⑥ 午後の自由遊び
給食後は再び自由遊び。
通った療育園では、個別支援や相談・勉強会などで1時間ほど親子分離の時間がある日もありました。
その間の子どもの様子は、後で先生が詳しく教えてくれました。
など、私と一緒にいる時では見られない息子の姿を知れるのが楽しみでした。

最初は私と離れるのが難しく泣いていた息子ですが、「戻ってくる時間」が分かるようになると平気になりました。
ステップ⑦ 帰りのあつまり〜降園
最後はイスに座って帰りのあつまりをします。
短い時間ですが、1日の締めくくりとして大切な時間です。
そして、園を出るとき、先生は笑顔で「また明日ね!」と送り出してくれ、そのひと言が私たちおやこを穏やかな気持ちにしてくれました。
慣れるまでは、療育園に通うのが大変で、息子の課題も山積みで辛かった時期もありました。
でも、息子の癇癪でクタクタの日も、上手く対応できなくて涙が出そうな日も、先生や療育園ママにたくさん助けてもらいながら、乗り越えることができました。

2年間通い続けられたことは、私の大きな自信になりました!
補足①療育園の行事について
- Q療育園にも行事はあるの?
- A
行事はありますが、負担が少ないものが多いです。
幼稚園や保育園のような大規模なものではなく、アットホームな雰囲気でおやこ共に参加しやすかったです。
療育園の行事は、時間が短めで、子どもが無理なく参加できるように配慮されているところが特徴です。
ちなみに、わが家が通っていた園では、
といった行事がありました。
行事が苦手な子も多かったですが、療育園ではその子のペースに合わせて参加できるように環境が整えられていたので、安心して取り組めました。

息子も行事がとても苦手でした…
1年目は、途中で離れてしまったり、ほとんど参加できなかった行事もあります。
それでも、先生たちが無理に参加させるのではなく、
と、寄り添ってくれたおかげで、2年目には落ち着いて参加できる場面が増えていきました。
- Q入園式・卒園式はある?
- A
園によってさまざまです。わが家の場合は、入園式はありませんでしたが、卒園式はありました。
通っていた療育園では、家庭によって通い始める時期がバラバラだったので、入園式はありませんでした。
一方、卒園式は年度末の3月に、途中で保育園や幼稚園へ移行した子どもも含めて行われました。
わが家の通った園での卒園式では、
といった内容で、時間は30分〜1時間ほどでした。

事前に練習もあり、当日はスーツを着て参加しました。
補足②療育園の親の活動について
- Q親の活動(係・役割など)はある?
- A
園によって異なります。
わが家が通っていた療育園には保護者の役員制度がありましたが、周りに聞くと、まったくない園もあるようです。
ただ、最近は
といった背景から、親の負担は全体的に軽くなっている傾向があります。
また、息子が幼稚園へ移行して、幼稚園と比べてみると、親の負担は圧倒的に少なかったと実感しました。
療育園ならではの専門的な支援は何をする?
療育園では、子どもの発達段階に合わせた専門的な支援が行われています。
とはいえ、内容は園によってさまざま。
ここでは、通ってみて実際に感じた療育園ならではの特徴的な支援を紹介します。
子どもに合わせた個別支援
療育園では、保護者からの聞き取りや発達評価をもとに、一人ひとりに合わせた「個別支援計画」を作成してくれます。
など、子どもの得意・苦手を丁寧に把握し、日々の療育に無理のない形で組み込みながら、目標に向けてサポートしていきます。

わが家の場合は、1ヵ月ごとに先生と一緒にふり返って、目標を細かく更新していました。
また、個別支援といっても特別な時間だけに行うわけではありません。
日常の遊びや生活の中に自然に取り入れ、子どもが遊びの延長として取り組めるよう工夫されていました。
運動や感覚統合のプログラム
療育園では、体の使い方や感覚の調整が苦手な子どもに合わせて、運動遊びや感覚統合を取り入れたプログラムを行うことが多いです。
通っていた園で取り組んだ内容の例
これらは単なる体を動かすあそびではなく、姿勢の安定や集中しやすさなどにもつながると言われています。

運動の活動は好きな子が多く、毎回みんな楽しそうに参加していた印象です。
音楽療法・リズム活動
音やリズムは、子どもの情緒を落ち着かせたり、ことばの発達を促したりする効果があると言われています。
通っていた園で取り組んだ内容の例
音楽には自然と参加したくなる魅力があるため、活動に入りづらい子のきっかけづくりにも役立ちます。

ただ、音楽の活動は、好きな子と苦手な子がはっきり分かれていた印象です。
息子も苦手なタイプだったので、最初は入れないことも多かったのですが、卒園するころには、楽しく参加できるようになりました。
保護者向けの発達相談や勉強会
療育園は、子どもへの支援だけでなく、保護者のサポートにも力を入れています。
園によって内容は異なりますが、たとえば次のような機会が設けられています。
親が一人で悩みを抱え込まず、専門家と一緒に子育ての方向性を整理できるのは大きな安心感につながりました。
まとめ|療育園で過ごした2年間は、今のわが家の大事な土台に!
療育園で過ごした2年間は、わが家にとってかけがえのない時間でした。
子どものペースを大切にしながら寄り添ってくれる先生たち。
同じ悩みや喜びを共有し、励まし合ってきた療育園のママたち。
安心できる環境の中で、家庭だけでは気づけなかった息子の成長の芽を、たくさん一緒に見つけることができました。
そうした積み重ねが、今の生活を支える大きな土台になっています。
療育園で学んだことは、卒園して終わりではありません。
着替えや食事のステップ、気持ちの切り替え方、遊びの中での成功体験、困った場面での関わり方など…日々の小さなコツが、今も家庭や小学校生活の中で役立っています。
また、療育園に通ったことで、子育ての軸が整い、幼稚園・小学校へのステップも前向きに考えられるようになりました。

親である私自身にとっても、今の子育てを支えてくれる大切な経験になりました!


