息子が1歳を過ぎたころから育てにくさをかんじていました。
言葉がなかなか増えない、呼んでも振り向かない、みんなが楽しそうに参加する手遊びや絵本に興味を示さない…。
周りの子との違いを前に、どうしていいか分からず戸惑う日々でした。

相談できずに、不安を抱えていた時期がありました…
子育て支援センターや親子イベント、幼稚園のプレなど、思いつく場所には積極的に通いましたが、状況は変わりませんでした。
自由に動き回る息子を追いかけてばかりで、うまくできない息子の姿にイライラしてしまったり、周囲の視線が気になって人との関わりを避けるようになっていったり…。
「すみません」が口ぐせになり、息子のできないところばかりが目につく自分自身にも苦しさを感じていました。
そんな中で、一歩踏み出して、相談したことで、わが家に合う支援につながった経験があります。
この記事では、発達が気になったときにどこへ相談したらよいのか分からないママやパパに向けて、わが家が実際にたどった療育園までの3つのステップをまとめました。

安心して一歩を踏み出せるように!
STEP1|発達が気になったら、乳幼児健診で相談する
子どもの発達に不安を感じたとき、頼れる身近な場所が「乳幼児健診」です。
健診では子どもの発達状況を確認し、必要に応じて支援につないでもらうことができます。
乳幼児健診とは
1歳6か月児健診・3歳児健診は全国どの自治体でも母子保健法上の規定により行われています。
乳幼児健診では、
が行われます。
そのため、発達のことで不安があるけど周りに相談できずに悩んでいるママやパパにとって、健診は大きなチャンスです。
参考資料:乳幼児健診に関する取組み|こども家庭庁
1歳6か月健診の息子の様子
1歳6か月児健診での息子は、おちつきがなく動き回って大変でした。

抱っこをしながら乗り切りました…
このように息子の気になる点は多かったのですが、

まだ1歳だし、そのうち伸びるかも…
と、当時の私はどこかで現実を認めたくない気持ちがありました。
2歳児健診で悩みを伝える決意をする
わが家の住む地域では2歳児健診が実施されていました。

2歳児健診の有無は自治体によって異なります。
2歳の息子は、1歳6か月の頃よりも動きは激しくなっている一方で、言葉ややりとりの成長はほぼ変わらず、対応はさらに大変になっていました。
また、当時はワンオペ育児で、夫にも相談できず、限界を感じていました。
迎えた2歳児健診当日、同じ月齢の子どもたちの成長ぶりにおどろき、息子との明確な差を目の当たりにしたことで、「相談しよう」と心が決まりました。
2歳児健診での息子の様子
グループ単位での説明から健診がスタートしました。
健診には20組ほどの親子が参加していましたが、どの子もお母さんのそばで座って待っていました。
中には、お母さんと会話をしながら落ち着いて待つ子も。
一方で私はというと、動きたくて仕方がない息子を必死で押さえていたので、保健師さんの話はほとんど耳に入らず、周りの迷惑にならないようにすることで精一杯でした。
その後の、身体測定や歯科検診も逃げ出しそうな息子をなだめながらなんとか完了。

息子は不機嫌のピーク、私は体力や気力の限界でした。
保健師さんとの個別面談を希望する
2歳児健診の最後に、希望者のみの個別相談がありました。
正直、相談せずにもう帰りたい気持ちでいっぱいでしたが、このままではいけないという思いが勝り、相談を希望しました。
室内を動き回る息子が他の親子にぶつからないよう配慮しながら、順番を待ちました。
そして、10分ほどして相談の順番がまわってきました。

待ち時間の体感としてはもっと長く感じました…
保健師さんに親子教室を紹介してもらう
保健師さんには、
を伝えました。
健診中の息子の様子を保健師さんが実際に見てくれていたので、状況はすでに理解してもらえ、話はスムーズでした。
そして、保健師さんに紹介されたのが「親子教室」でした。
保健師さんに教えてもらった親子教室の概要

内容は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体への確認をおすすめします!
このとき初めて、発達が気になる親子向けの教室があることを知りました。
2歳児健診で相談したことで、息子を早期に療育につなげることができたと思います。

待っているだけでは情報は得られないと実感しました!
STEP2|地域の親子教室に参加してみる
親子教室とは、お友だちとうまく遊べない、落ち着きがない、言葉の遅れがあるなど、心配を抱える親子を対象に、自治体が行っている発達支援です。
診断は不要・費用も無料で気軽に参加できます。
また、専門職(保健師・心理士・保育士など)の方が遊びや関わり方を通して子どもの様子を一緒に見てくれることもあります。
さらに、同じように発達に不安を抱える親子が参加しているため、情報交換ができるのも大きなメリットです。

自治体によって教室の名称や内容は異なるので、気になる方はお住まいの自治体に問い合わせるとスムーズです!
わが家が通った親子教室について
わが家の自治体では就園前の子どもが対象で、2〜3歳の親子が多く参加していました。
2歳児健診の相談で、私は迷うことなく参加を希望し、その場で保健師さんに連絡先を伝えました。
翌日には担当者から連絡があり、具体的な説明を受けて、参加が正式に決まりました。
親子教室の内容と流れ(わが家の例)
わが家が通った親子教室のスケジュールは次のとおりです。
- 10:00 自由遊び
- 10:30 はじまりのあいさつ(体操・ふれあい遊び)
- 10:45 テーマ遊び
- 11:15 おわりのあいさつ(絵本)
親子で一緒に楽しく過ごしながら、友だちとの関わり方や集団での活動を経験できる内容となっていました。
発達に悩んでいる親子が集まる場所でも目立つ息子
週1回の親子教室が始まり、ここなら息子も刺激を受けて、みんなに追いつけるかもしれないと期待していました。
しかし、現実は、私の想像とはまったく違いました。
自由遊びでは、好きな遊びを1人で黙々と続け、みんなで行う活動の時間になると外へ出ようとする息子。
一方で、ほとんどの子どもたちはお母さんと一緒に楽しそうに活動していました。

本当に発達が気になる子ども達なの?
と思うほど、みんな落ち着いて参加していました。
私は、活動に参加できない息子へのプレッシャー、周りからの視線、頼れる人がいない孤独感で、楽しむ余裕などありませんでした。
職員の方からは、「お母さん、頑張って!」と何度も励ましの言葉をかけてもらいました。
けれど、当時の私は、その優しい言葉でさえ心の負担に感じてしまうほど、気持ちに余裕がありませんでした。

何に対しもマイナスにとらえてしまう精神状態でした…
それでも他に行く場所はなく、泣きたい気持ちをこらえながら、毎週なんとか親子教室に通い続けました。
別室に呼ばれて、簡単な発達検査を受ける
数か月通った頃、ある職員さんがそっと声をかけてくれました。
別室に案内され、親子教室での様子について話したあと、簡単な発達検査を受けました。
そして、
「息子くんの発達はゆっくりで、実年齢の半分くらいの成長です」
と、告げられました。
当時2歳半の息子は、発達年齢でいうと1歳3か月ほどでした。

当時は詳しい知識がなく、記憶はあいまいですが…
おそらく新版K式発達検査だったと思います。
そして、職員さんは続けて、
「よかったら、一度 見学に来ませんか?」
と療育園を紹介してくれました。
正直、当時は療育がどんなものかも分からず不安だらけでした。

このまま進んで大丈夫なのか?

幼稚園や小学校には行けるのか?
できることなら、「大丈夫!心配いらないよ!」と誰かに言ってほしかった…
療育園への道を誰かに止めてほしい気持ちがありました。
でも、もうここまで来たら立ち止まれない…
迷いながらも、前に進むしかありませんでした。

よろしくお願いします!
そして、療育園の見学へ行くことが決まりました。
STEP3|療育園の見学へ行ってみる
いよいよ療育園の見学当日。
緊張しながら療育園に入ると、やさしそうな園長先生が笑顔で出迎えてくれました。
まずは個室に案内され、自己紹介と、息子の現状の困りごとを簡単に話しました。
療育園で自由遊びを体験した息子の様子
その後、園長先生と一緒に、療育を行っている部屋へ移動しました。
ちょうど自由遊びの時間で、15組ほどの親子がいました。
友だちと関わって遊んでいる子もいれば、お母さんと一緒におもちゃを楽しんでいる子もいます。
初めての場所に緊張して固まっていた息子に、園長先生が車のおもちゃを出してくれました。
おもちゃが気に入って安心したのか、息子は部屋の隅で車を一列に並べ、寝転んでじっと眺めはじめました。
しばらくすると、先生が大きな布を持って部屋に入ってきました。
ほとんどの子がすぐに気づき、楽しそうに先生の周りへ集まっていきます。
かけ声に合わせて、一斉に布遊びを楽しむ姿が広がっていました。
しかし、息子は、そのにぎやかな様子に目もくれず、車を並べ続けています。
楽しそうな声にも反応がなく、ただただ自分の世界の中にいるようで…。
そんな息子の姿を見て、改めてショックを受けました。

息子が友だちと一緒に遊ぶ姿を見られる日は来るのかな…
心の中でそう思いながらも、かける言葉が見つからず、ただ複雑な気持ちで息子を見守ることしかできませんでした。
でも、園長先生は、無理に誘うことはせず、にこやかに息子の遊びを見守ってくれていました。
そうして、息子が並べた車を眺めているうちに、自由遊びの時間は終わりました。
療育園で朝のあつまりを体験した息子の様子
先生の合図で、子どもたちは一斉におもちゃを片づけ始めました。
そして、「朝のあつまり」の時間も体験させてもらいました。
まずは、みんなで輪になって体操が始まりました。
私は、息子がいつものように走って外へ飛び出してしまうのでは…と覚悟していました。
ところが、初めての場所でどうしていいか分からない様子で、息子はその場に立ち尽くしていました。
次に、部屋の隅に積んであったイスを子どもたちが自分で取りに行き、決められた位置に並べて座ります。
息子は逃げようとしたので、私は抱っこで必死に引きとめ、私が代わりにイスを持って列のはしに置きました。
息子は座りませんでしたが、抱っこをしながらイスの近くには居続けてくれました。
しかし、周りを見渡すと、ほとんどの子どもたちがイスに座り、歌を歌ったり返事をしたり、先生の話をしっかり聞いていました。
私は、療育園には息子と同じように活動に参加することが難しい子が多いだろうと勝手に思い込んでいたので、その光景に驚きました。

息子はここでやっていけるんだろうか…
それと同時に胸の奥からふっと不安が込み上げてきました。
「ココなら大丈夫!」と思えた園長先生の一言
朝のあつまりが終わり、最初に案内された部屋へ戻りました。
席につくと、園長先生がやさしい声で、
「見学してみてどうでしたか?」
と声をかけてくれました。
私は胸の中にあった不安がこらえきれず、

息子もイスに座れるようになりますか?
と、自然と口にしていました。
園長先生は私の目をしっかり見て、力強く言いました。
「座れます!」
その一言を聞いた瞬間、胸の中のモヤモヤがふっと軽くなるのを感じました。
さらに続けて、
「さっき座れていた子たちも、最初は座れなかったのよ。だから、絶対に座れるようになります!」
と落ち着いた声で言ってくれました。
その言葉に、心の底から安心し、療育園に通う決心ができました。
園長先生の言葉が背中を押してくれ、私たちは療育園に通うことになりました。
そこからわが家は、朝9時に登園し、親子で一緒に過ごし、14時に降園する生活を2年間続けました。
週5日通園を希望し、行ける日はできる限り通いました。
療育園を見学したあの日、私はまだ「親子通園」がどれほど大変かを知りませんでした。

今、同じようにまた通えるか?
…と聞かれたら、自信はありません。
それでも、あの2年間、息子と一緒に通い続けたからこそ、息子の成長を見ることができました。
そして、私自身も、親として大きく変わることができたと思います。
まとめ|まずは相談から始めて、わが子に合う支援の一歩を
今回紹介した療育園につながるまでの3ステップは、私自身が実際に歩んできた道のりです。
前に進むたびに不安もありましたが、その小さな一歩が、息子に合う支援へとつながる大きなきっかけになりました。
支援につながるまでの道のりは、家庭ごとに本当にさまざまです。
でも、「まず相談してみる」「一度足を運んでみる」という小さな行動が、未来を少しずつ変えてくれると思います。
また、発達検査や療育と聞くと、どうしてもハードルが高く感じるかもしれません。
でも、それは決して特別な選択ではなく、子どもが過ごしやすくなるための手段のひとつです。

ひとりで抱え込まずに、まずは相談することから始めてみましょう!


