ASDの息子と、親子通園の療育園に通い始めて2ヵ月が経ったころの話です。
先生たちのサポートのおかげもあり、集まりや活動の時間でも、息子は少しずつ療育室の中にいられるようになってきました。

やっと、療育に集中できる!
しかし、ほっとしたのも束の間で、今度は、別の悩みが目につくようになりました。
集まりの時間になると、部屋の中を走り回ってしまい、落ち着いて参加できず…。
それは、これまで参加してきた幼稚園のプレや親子教室での集まりと、同じ状況でした。

どうして集団行動ができないんだろう?

多動だから? それとも、まだ慣れていないだけ?
この記事では、療育2ヵ月目の朝と帰りの集まりの様子を通して気づいた、息子が集団行動に参加できなかった本当の理由について、わが家の実体験をもとにまとめています。
同じように集団行動ができないことで悩んでいるママやパパの、気もちが楽になるきっかけになればうれしいです。
部屋には入れるようになったのに、集団行動ができない息子
療育を始めて2ヵ月目。
息子は、集まりの時間でも少しずつ療育室の中にいられるようになってきました。

一歩前進できた!
しかし、手応えを感じ始めた一方で、今度は別の困りごとが目につくようになりました。
それは、集団行動に参加できないこと。
外に飛び出してしまうことは減ったものの、集まりの時間になると、じっと座っていられず、落ち着いて参加することができませんでした。
集まりの時間に落ち着いて座っていられない
朝や帰りの集まりが始まると、他の子どもたちはイスに座り、先生の話を聞いています。
一方で息子は、イスに座ることができず、部屋の中を歩き回ったり、走り出そうとしたり。
座ろうね…と声をかけてうながしても、ほんの一瞬座るだけで、すぐに立ち上がってしまいます。
無理に止めようとすると、癇癪につながることもありました。
他の子やママさんたちの視線が気になり、

外から見ていたころの方が、気もちは楽だった…
そんなふうに思ってしまう自分もいました。
決められた場所で参加することが難しい
もうひとつ、気になっていたのが、集まりの時に決められた場所で座れないことです。
通っていた療育園では、集まりの時間になると、子どもたちが自分でイスを持ってきて一列に座ります。
並び順は特に決まっていませんが、自然と中央付近から場所が埋まっていきます。
けれど息子は、その列に加わろうとせず、少し離れた場所にイスを動かそうとしました。
決められた場所に戻そうとすると強く抵抗し、無理に動かすと癇癪につながることもありました。

ただ座るだけなのに、どうしてこんなに難しいんだろう…
集まりの時間が近づくたびに気が重くなりながらも、毎日参加し続けました。
なぜ集団行動ができないのか?息子に当てはまる特徴
療育園に入る前から、息子はどこへ行っても、集団活動にうまく参加できませんでした。
みんなと一緒にやることを嫌がって外に出ようとしたり、無理に中に入れても、落ち着かずに動き回ってしまったり。
その姿を見るたびに、私はずっと考えていました。

どうして、息子は集団行動ができないんだろう?
療育に通い始めても、その疑問は消えませんでした。
集まりの時間になると同じような行動が続き、理由が分からないまま、悩みだけが積み重なっていきました。
ずっと動き回るのは多動症だから?
まず、最初に頭に浮かんだのが、「多動症」でした。
発達障害のひとつである注意欠陥多動性障害(ADHD)には、「じっとしていられない」「落ち着きがない」といった特徴があります。
注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などを特徴する発達障害です。
集まりや活動の時間になると、歩き回ってしまう。
イスに座っても、すぐに立ち上がってしまう。
そんな息子の様子を見て、

やっぱり多動があるのかな…
そう感じるようになっていきました。
もし、特性の影響だとしたら、無理に座らせようとするのは違うのかもしれない。
そう思う一方で、本当にそれだけが原因なのか、どこか腑に落ちない気もちも残っていました。
集団行動が苦手な子によく見られる特徴
次に、幼児期に「集団行動が苦手」とされる子どもの特徴も調べてみました。
どれも、息子に当てはまっていました。

やっぱり、集団行動そのものが息子には負担なんだ…

集まりに参加できないのは仕方がないことなのかも…
それでも、どうしたら少しでも楽に参加できるようになるのか。
できないままで終わらせていいのか、息子の様子を見ながら考え続けました。
朝と帰りの集まりで気づいた、集団行動ができない本当の理由
療育園に通い始めてしばらく経ち、私自身も少しずつ園の雰囲気に慣れてきたころ。
周りにどう見られているかを気にしすぎていた自分に気づき、それよりも、目の前の息子をちゃんと見ようと、朝と帰りの集まりの様子を意識して観察するようになりました。
すると、ひとつ大きな気づきがありました。
息子は、集まりそのものが嫌で動き回っているわけではありませんでした。
イスの置き場所に表れていた、息子の強いこだわり
集まりの時間になると、息子は必ずイスを動かそうとしていました。
あらかじめ置かれている位置には、なかなか座ろうとせず、自分なりに場所を変えたり、角度を調整したり、何度もイスを動かそうとします。
それを止められると、途端に落ち着きを失い、立ち歩いたり、走り回ったり、ひどいときには癇癪をおこしてしまう。
その結果、「集団行動ができない」状態になっていました。
でも、この時の息子にとって一番大事だったのは、イスに座ることでも、集まりに参加することでもなく。
イスが自分の納得できる位置にあるかどうかでした。
そのことに気づいたとき、息子が集団活動に参加できなかった根本的な理由を、ようやくひとつ見つけることができたように感じました。
自分がしっくりくる位置にイスが置けない。
その小さな違和感が気になって仕方がなく、心も体も落ち着かなかった。
そして、そのサインが走り回る行動や、座れない姿として表れていたのだと思います。
息子の集団行動ができない理由は、息子の中の強いこだわりが満たされていなかったこと。
「集団が苦手だから」でも「多動だから」でもありませんでした。
この気づきは、わが家のおやこの関わり方を見直す、大きな転機になりました。
「こだわり」を受け止めたら、集まりに参加できるようになった息子
息子が集団行動に参加できなかった理由が、集まりが苦手だからではなく、イスの置き場所への強いこだわりにあると分かってから、関わり方を見直すことにしました。
無理にみんなと同じに合わせるのではなく、息子が安心して集まりに参加できる形を探してみよう。
そう考えるようになりました。
条件を決めたうえで、「こだわり」をできる限り認める
先生と相談しながら、まず決めたのは、こだわりをやめさせるのではなく、条件付きで認める対応でした。
具体的には、次の3つをルールにしました。
この最低限のルールは、たとえ癇癪が起きても、何度も伝えました。
それ以外の部分は、息子がココがいいと思う位置にイスを置けるよう配慮してもらいました。
ドアの近くに寄せたり、後ろのロッカーの手前にくっつけたり。
最初のころは、みんなの列から離れた場所にイスを置くことが多かったです。
正直、私自身はとても気になりました。

できれば、みんなと同じ列に座ってほしい…
それでも、ぐっとこらえて、息子が選んだ位置を尊重することにしました。
すると、息子が納得できる位置にイスを置けたあとは、自分から座り、そのまま集まりの時間を過ごせるようになっていきました。
息子の「こだわり」を受け入れてくれる療育園の存在
また、息子が少しずつ変わっていけたのは、こだわりを「困った行動」として否定せず、「理由のある行動」として受け止めてくれる療育園の環境があったからです。
イスの位置へのこだわりに気づいたとき、すぐに先生に相談しました。
すると先生は、
息子のペースを大切にしてくれました。
次の日には、その対応がすべての先生に共有されていて、息子が少し離れた場所にイスを置いても、「もっとこっちに来て」「ここで座ろう」と言われることはありませんでした。
先生たちの姿勢を間近で見て、私自身の気もちも変わっていきました。
みんなと同じ場所でできるようにしないと…そんな思いから、

どうしたら息子が安心して参加できるかな?
このように考える視点へと、少しずつ切り替わっていきました。
また、他のママたちも状況を察してくれ、息子が中央に座りたがる時期には、さっと場所を空けてくれるなど、自然な配慮をしてくれました。
大事な時期に、息子に合った環境に出会えたこと。
それは、本当にありがたいことだったと感じています。
まとめ|集団行動ができない理由は、息子の中にあった
療育を始めて2ヵ月。
集団行動ができない息子を前に、私はずっと「どうしてできないのか」を考え続けてきました。
多動なのか、集団が苦手なのか。
特性だから仕方ないと、自分に言い聞かせていた部分もありました。
でも、息子の様子をよく見て、行動の一つひとつを丁寧に追っていくうちに、息子なりのちゃんとした理由があることに気づけました。
息子は、集団行動そのものを拒否していたわけではありませんでした。
イスの置き場所への強いこだわりや、安心できる位置を確保できない不安。
それが、走り回る行動や、座れない姿として表れていただけでした。
こだわりを「困った行動」として抑え込むのではなく、条件付きで受け止め、安心できる方法を整える。
そう関わり方を変えたことで、息子は少しずつ、集まりの中にとどまれるようになっていきました。
療育2ヵ月目の経験を通して、「なぜできないのか」ではなく、息子が「何に困っているのか」「どこが不安なのか」を考えるようになりました。
その視点に立てたことで、私自身の見え方も、息子との向き合い方も、大きく変わったように感じています。

