通常級と支援級の違いとは?わが子に合う環境選び

わが家には、現在小学2年生のASDの息子がいます。

ふたハ
ふたハ

「通常級」と「支援級」…

息子にはどっちがいいのかな?

就学先の選択肢は「通常級」と「支援級」以外にもありますが、息子の場合は、身辺自立がある程度できていたので、わが家は地域の小学校の「通常級」か「支援級」で考えていました。

そして、就学相談を通して、息子が通う小学校の通常級や支援級の理解を深め、わが家は「支援級」に決めました

この記事では、通常級と支援級の違いを整理するとともに、ASDのお子さんに合った環境選びのポイントをまとめていきます。

「通常級」と「支援級」の基本情報を整理

まずは、「通常級」と「支援級」がどんな学びの場であるのかを整理しましょう。

ふたハ
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なんとなくはイメージできるけど…

具体的にはどんな違いがあるのかな?

①制度上の位置づけ

通常級(通常学級について

  • 多くの子どもが通う学級
  • 義務教育の標準的な教育を受ける場
  • 特別な支援は基本的に行っていない

支援級(支援学級)について

  • 通常級とは別に設けられた学級
  • 少人数での学習や生活指導を行う
  • 子どもの発達段階や特性による柔軟な指導が受けられる

②対象となる子どもの範囲

通常級(通常学級

  • 学習面や生活面で大きな配慮がなくても集団活動に参加できるか
  • 多少の支援が必要でも、通級や学校内のサポートで対応できるか

支援級(支援学級)

  • 発達障害や知的障害など、日常生活や学習において継続的な支援が必要か
  • 通常級での適応が難しく、個別のペースで学ぶことが望ましい場合

③学習内容の違い

通常級(通常学級では

  • 学年相応の学習内容に沿って授業が進む
  • 授業のスピードが速く、全員で同じ進度で学ぶ

支援級(支援学級)では

  • 子どもの理解度や得意・不得意に応じて、個々の学習到達度に合わせて進む
  • 基礎学力の定着や生活スキルの習得に重点をおいた学び

④サポート体制の違い

通常級(通常学級

  • 1クラス35人(上限)に担任1人
  • 基本的に個別のサポートはない

支援級(支援学級)

  • 1クラスは8名(上限)
  • 担任と支援員が配置され、手厚く指導を受けられる
  • 個別の教育支援計画を作成してもらえる

個別の教育支援計画とは?

障害のある幼児児童生徒の一人一人のニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応していくという考えの下、長期的な視点で乳幼児期から学校卒業後までを通じて一貫して的確な支援を行うことを目的として策定されるもの

引用:資料1 個別の教育支援計画について(補足資料):文部科学省

ふたハ
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担任の先生と相談しながら、学習面や生活面での目標を設定しています。

学期末に、先生と一緒に進捗を確認しながら、息子の成長や課題を共有しています。

⑤学校生活の違い(人間関係・集団活動など)

通常級(通常学級では

  • 給食や休み時間、行事なども含めて、クラス全員で過ごす
  • 友だちとの交流が自然に広がりやすい反面、集団生活に適応できない場合は孤立感を抱くこともある

支援級(支援学級では

  • 少人数の学級で落ち着いて過ごせる環境
  • 行事や給食などは通常級と交流することも多く、状況に応じて「安心できる場」と「集団との関わり」を行き来できる

ASD息子による「通常級」と「支援級」のメリットとデメリット

通常級と支援級の制度上の違いを整理したうえで、次は、ASDのお子さんには「どっちの環境が合うのか…?」を考えていきます。

ASDの子どものよくある特性としては次のようなものがあります。

  • こだわりの強さ
  • 人とのコミュニケーションが苦手
  • 興味や関心のかたより
  • 感覚のかたより(感覚過敏・感覚鈍麻)

わが家のASDの息子も、こだわりが強く、人とのコミュニケーションが苦手です。

さらに、興味の幅がせまい上に独特な感性を持ち、言葉の遅れ、いつもと違う環境や予定変更が苦手だったり…感覚過敏もあります。

ここでは、わが家のASD息子が「通常級」と「支援級」を選択した場合のそれぞれのメリットとデメリットをまとめました。

ただし、同じ自閉スペクトラム症(ASD)の診断であってもお子さんによって興味や得意・不得意、特性は違います。

そのため、症状や程度、困難さは一人ひとり異なるので、お子さんの状況を日ごろから把握しておくことが大切です。

ふたハ
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息子の場合の一例として参考にしてくださいね。

ASD息子が「通常級」を選択した場合のメリットとデメリット

「通常級」のメリット

  • 同年代の多くの子どもと関わることができ、社会性を育みやすい
  • 支援が少ない分、自分の力でやる機会が多く、自立経験を積める
  • 将来的に中学校・高校進学の選択肢が広がる
  • 「みんなと同じ」という安心感を子ども自身や家族が持ちやすい

「通常級」のデメリット

  • 授業のスピードが速く、理解が追いつかないとつまずきやすい
  • 集団の中で特性が目立つと、孤立やいじめにつながるリスクがある
  • 教員の目が全員に行き届かず、個別のサポートが十分でないことがある
  • 集団生活のルールや一斉行動に強いストレスを感じやすい

ASD息子が「支援級」を選択した場合のメリットとデメリット

「支援級」のメリット

  • 少人数で手厚い指導を受けられ、学習や生活の困りごとに対応しやすい
  • 個別支援計画があり、子どものペースに合わせた学習が可能
  • 行事や給食などでは通常級と交流でき、無理なく社会性を広げられる
  • 困ったときに戻れる「安心できる居場所」がある
  • 環境変化や集団行動へのストレスが少なく、安心して学校生活を送れる

「支援級」のデメリット

  • 学習内容が年齢相応よりもゆるやかになる場合があり、学年相当の学力習得に差が出る
  • 交流の機会を工夫しないと、通常級の友だちとの関わりが限られる
  • 支援級で過ごす時間が長いと、将来通常級で学ぶ際の経験不足につながるおそれがある
  • 通常級の子との壁を感じることがあり、本人や親の気持ちに影響することがある
  • 地域や学校によって支援級の雰囲気やサポート体制に差が大きい

通常級と支援級にはそれぞれの良さがあります。

お子さんの発達段階や性格、何を優先するのかをしっかり整理したうえで、どっちがいいのか考えてみましょう。

通常級と支援級における多様な学びの選択肢

また、通常級と支援級ではそれぞれに、学校での学習や生活に困難さを抱えた子どもに対する学びの場が整備されています。

通常級に在籍しながら通級指導を受けられる

「通常級」を選択した場合、通常級に在籍しながら、週に数時間だけ別室で専門的な支援を受けられる「通級」があります。

通級による指導(自閉症や情緒障害に応じた教育的対応)

通級による指導においては、各教科等の大部分の授業を通常の学級で学び、指導上の工夫や個に応じた手立て、教育における合理的配慮を含む必要な支援を受けながら、一部の授業について当該の子供の障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために、自立活動の指導をしています。
例えば、自閉症のある子供については、他人との意思疎通に関わることや対人関係、社会生活への適応などの困難さを改善・克服を図る指導をしています。

引用:(7)自閉症・情緒障害:文部科学省

「通級」のメリット

  • 通常級で同じ学年の友だちと学習や生活をしながら、子どもの特性に合わせた指導や指導を受けられる

「通級」のデメリット

  • 通級の時間にクラスを抜ける必要があり、「なんでいないの?」と友だちに聞かれて、本人が気にしてしまう可能性がある
  • 通級の指導を受けた分だけ通常の授業が受けられずに遅れてしまう

支援級には「情緒クラス」と「知的クラス」がある

「支援級」を選択した場合、「情緒クラス(自閉症・ADHDなど発達特性が中心の子ども)」と「知的クラス(知的発達の遅れがある子ども)」に分かれている場合があります。

  • 情緒クラス…感情のコントロールや集団行動の練習を重視しつつ、学習は通常級のペースで進む
  • 知的クラス…学習は個々のペースを尊重しつつ、生活に役立つ力や基礎学力を身につけることに重点を置く

ただし、学校によってはどちらのクラスも設置していない場合もあり、自治体によって呼び方や運営方法が異なります。

そのため、お住まいの自治体やお子さんが通う小学校に事前に確認しておくと安心です。

支援級の「交流」制度について

また、「支援級」には、通常級の授業や学校行事に参加できる交流があります。

この制度によって、「支援級」を選択した場合でも、通常級の友だちと自然に関わる機会を持てます。

ふたハ
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息子の通う小学校の交流は

1年生は「図工」「体育」「音楽」「生活」など、参加しやすい教科で設定されています。

ただし、交流の頻度や内容は学校によって差があります。

よって、就学相談で実際に見学して雰囲気を確かめたり、学校の先生にどのくらい交流に行けるか直接確認することが大切です。

子どもに合う学びの環境をアップデートしていく

就学先を決めるとき、「小学校6年間ずっと同じ形で過ごす」と思いがちですが、実際には子どもの成長や環境の変化に合わせて学びの場を調整することが可能です。

一度の決断で将来を決めるのではなく、「今の子どもに合った選択」をして、その後も柔軟に見直していけることを知っておくと安心です。

「転籍」によって、入学後に学びの環境は変えられる

小学校に入学してから「やっぱり通常級では負担が大きい」「支援級で力をつけたから通常級に挑戦したい」と思うケースはたくさんあると思います。

就学先は一度決めたら終わりというわけではありません。

子どもの成長や環境の変化に応じて、教育委員会や学校と相談の上で、学級を変更することが可能です。

  • 通常級から支援級への転籍
    入学当初は通常級に在籍していたけれど、「学習についていけない」「集団生活での負担が大きい」と感じた場合、年度途中や次年度から支援級に移ることができる
  • 支援級から通常級への転籍
    支援級で手厚いサポートを受けながら力をつけ、「集団でもやっていけそう」と判断された場合、次年度から通常級に移ることができる

入学後も環境を変えられることを知っておくと、最初の選択に過度に悩まず、子どもに合った学びを実現できます。

家庭と学校と専門家の連携が大切

そして、子どもに合った学びの環境を整えるためには、家庭・学校・専門機関の連携したサポートが欠かせません。

  • 家庭でやること…日常生活での様子や困りごとを観察して、記録しておく
  • 学校と連携…担任や支援員と情報共有し、困りごとを早めに相談する
  • 専門機関へ相談…発達検査や主治医の意見を参考に、子どもの特性を客観的に把握する

このように複数の目で見守りながら連携を重ね、息子にとってどんな環境や支援が一番ベストなのかを日々考えています。

まとめ|通常級と支援級の違いを理解して子どもに合った選択へ

通常級と支援級には、それぞれに特徴やサポートの仕組みがあり、子どもに合う・合わないは一人ひとり異なります。

就学先を考えるときは、 通常級と支援級の違いを理解したうえで、子どもにとって安心して学べる環境はどこかを基準に判断することが大切です。

また、入学後もお子さんの成長や状況の変化に合わせて環境を見直すことは可能です。

入学前の段階で、プレッシャーを感じすぎないように「今」のお子さんに合った選択をすることもポイントです。

就学相談や学校の先生、専門機関などに相談しながら情報を集め、最終的に家族で納得ができるように、お子さんの学びの場を決めていきましょう。

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