わが家では息子が4歳のときに療育手帳を取得しました。
息子が1歳を過ぎたころから発達に不安を感じるようになり、保健センターや子育て支援センターに何度も相談するようになりました。
その結果、療育園や病院など支援につながり、「療育手帳」という制度を知るきっかけになりました。
この記事では、ASD(自閉スペクトラム症)の息子が療育手帳を取得するまでの経緯と、わが家が申請を決めた理由をお伝えします。
これから療育手帳の申請を検討している方や、取得を迷っているママやパパの参考になれば幸いです。
ASD(自閉スペクトラム症)の息子が療育手帳と出会った経緯
1歳を過ぎて感じた「育てにくさ」
息子が1歳を過ぎたころから、どこか育てにくさを感じていました。
2歳、3歳と成長するにつれて、言葉の遅れや集団行動の難しさが目立つようになり、私は次第に不安をつのらせていきました。
どこへ行っても上手く馴染めず、周りの子と比べて焦りを感じる毎日。
息子も居心地が悪そうで、私自身もどう関わればいいのか分からず、孤立感を深めていきました。
3歳で療育園につながった息子
転機となったのは、息子が2歳のとき。
自治体の発達相談で、言葉の発達や集団での活動の難しさを相談したことがきっかけでした。
その流れで、3歳から療育園へ通うことに。
最初のうちは、療育室に入ることもできず、癇癪も毎日のようにおこしていました。
それでも、先生たちに根気強く支えてもらい、少しずつできることが増えていったのを覚えています。
療育園では、一人ひとりのペースを大切にしながら、遊びや生活の中で「できた!」を積み重ねられる環境が整っていました。
初めて、「ここなら安心していられる」とおやこ共に思える場所に出会えました。
療育を通して見えてきた息子の特性
通園を始めて数か月。
息子の特性が少しずつ明確になってきました。
それまで、落ち着きがなくよく走り回っていたので、多動かもしれないと思っていました。
でも、実際には強いこだわりが原因で集団活動が難しかったことに気づきました。
他にも、予定外のことが起こると混乱したり、環境の変化に敏感だったり…。
療育を通して、息子が何に困っているのかを具体的に理解できるようになりました。
ASDと診断されるも…すぐには受け入れられなかった日々
療育園に通って半年ほど経ったころ、医師から「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断されました。
頭では理解していても、息子に障害がある現実を、すぐに受け入れることはできませんでした。
診断を受けた直後は、ネットで情報を調べては不安になり、周りの子どもと比べて落ち込む日々。
「発達障害」という言葉を口にするだけでも涙が出ました。
それでも、療育園の先生方の温かい言葉や、同じように子どもと向き合うママたちの姿に励まされ、少しずつ前を向けるようになりました。
支援の幅を広げるために「療育手帳」という制度を知る
療育を続ける中で、療育園のママ達から「療育手帳を取得した」という話を耳にするようになりました。
療育園の先生に聞いてみると、どんな制度なのかを丁寧に教えてくれました。

息子に手帳は必要なのかな…

まだ小さいのに手帳を持つなんて…
最初は息子が手帳を持つことに対しての抵抗感がありました。
しかし、療育手帳を持つことで受けられる支援や福祉サービスが広がると知り、息子の将来を見据えて支援につなげるために取得しようと前向きに考えるようになりました。
療育手帳とは?ASDの子どもでも取得できるの?
療育手帳を取得しようと決めたものの、初めは分からないことが多かったです。

どんな子が対象になるのか?

ASDの子どもでも取得できるのか?
療育手帳の目的と支援を受けられる対象者
療育手帳とは、知的障害のある人が福祉サービスや支援を受けやすくするための制度です。
手帳を取得すると、以下のようなサポートにつながりやすくなります。
判定は、18歳未満なら児童相談所、18歳以上なら知的障害者更生相談所で行われ、知的障害の程度に応じて「A(重度)」「B(中度・軽度)」などの区分で交付されます。
ASD(自閉スペクトラム症)の子も対象になるケースとは
ASDの子どもでも、知的発達に遅れがある場合は療育手帳の対象になります。
ちなみに、知的能力に遅れがない子の場合は療育手帳ではなく、精神障害者保健福祉手帳が対象となることが多いです。
わが家の息子の場合は、言語理解や認知発達に遅れがあったため、児童相談所での判定を経て療育手帳の対象となりました。
同じ「ASD」という診断名でも、子どもによって特性や発達の程度は異なります。
そのため、療育手帳を検討するときは、主治医や発達相談窓口に対象になるかどうかを事前に確認しておくと安心です。
自治体によって異なる「呼び名」や「判定基準」に注意
療育手帳は全国共通の制度ではあるものの、運用の仕方や名称が自治体によって少しずつ異なります。
たとえば、東京都では「愛の手帳」と呼ばれており、他にも「愛護手帳」「みどりの手帳」など、地域によって呼び名が違います。
また、判定の基準や等級の分け方も自治体によって微妙に異なり、同じ知能指数(IQ)でも、地域によって等級が変わる場合もあります。

わが家の自治体ではIQ75以下で知的障害の対象になりますが、IQ70以下からの判定にしている自治体もあるようです。
そのため、ネット上の情報だけで判断せず、お住まいの自治体の福祉課や児童相談所に直接確認するのが確実です。
わが家が療育手帳の申請を決めた3つの理由
しかし、療育手帳の存在を知っても、実際に申請するかどうかは簡単に決められませんでした。
ASDの診断を受けたときの衝撃がまだ残っていたこともあり…

知的障害の判定を受け止められるのか…

私の判断で息子の障害を証明することになってしまうのでは…
そんな戸惑いと葛藤が、頭の中を何度もぐるぐる回りました。
それでも、最終的にわが家は療育手帳を申請する決断をしました。
理由① 息子の発達状況を把握するため
療育を続ける中で、ゴールや今後の見通しが分からず、不安がふくらんでいきました。

今の息子の発達がどのくらいなのか?

今後どんな支援が必要なのか?
療育手帳を申請することで、知的発達の状況が分かり、「今」の息子の状態を客観的に知ることができます。
さらに、手帳の判定のために発達検査を受けるので、得意・不得意の傾向を知ることができ、今後の支援方法を考える上でも役立ちます。
理由② 幼稚園・小学校、福祉サービスとの連携をとるため
療育手帳を取得すると、教育機関や福祉サービスとの連携がとてもスムーズになります。
わが家の場合はこのような場面で、息子に必要な配慮や支援方法を伝えやすくなりました。
手帳があることで、息子の特性や支援の必要性を客観的な証明として示すことができ、先生や支援者との話し合いが進みやすくなったように感じます。
理由③ 療育園の園長先生から「デメリットはない」と聞いたから
申請を迷っていた私の背中を押してくれたのは、療育園の園長先生の言葉です。
「療育手帳は、障害を証明するものではなく、必要な支援につなぐためのものですよ」
この言葉が、私の心に強く響きました。
しかし、当時の私は不安ばかりがよぎってしまい、なかなか積極的に動けずにいました。

将来の進学や就職に影響するのでは…?

小さなうちから手帳を持たせていいのだろうか…
すると、園長先生はさらにこう続けてくれました。
「療育手帳を持つことで不利益になることはありませんよ。むしろ、必要な支援につながりやすくなるので、上手に活用したほうがいい」
その言葉に背中を押され、療育手帳の取得を決めました。
実際に手帳を取得してみると、日常生活で必ず提示しなければならない場面はほとんどありません。
わが家も、必要なときにだけ手帳を活用しています。
ASDの息子が療育手帳を取得して感じたこと
療育手帳を取得してから、わが家の支援の幅は一気に広がりました。
同時に、手帳を持ったことで見えてきた新しい現実や、親としての心の揺れもありました。
利用できる支援や福祉サービスが大きく広がった
療育手帳を取得して強く実感したのは、受けられる支援の選択肢が増えたことです。
障害者控除を受けられ家計面での負担が軽くなったり、交通機関やテーマパークなどの施設で割引が適用される場合もあり、「外に出てみよう」と前向きな気持ちにもなりました。
療育手帳は、ただの「証明書」ではなく、生活をそっと支えてくれるお守りのような存在だと感じています。
息子の特性をまわりに伝えやすくなった
また、手帳を持つようになってから、息子の特性を客観的に説明しやすくなりました。
幼稚園や小学校の先生に相談するときも、発達の遅れや支援の必要性を伝える際に、手帳が一つの根拠となり、理解を得やすくなったように思います。
「本当に支援が必要なのか」という議論に時間を取られず、「どんな支援が必要か」という本題にすぐに入れるため、親としても安心感がありました。
福祉サービスや放課後等デイサービスとのやりとりでも、手帳があることで話がスムーズに進み、支援体制が整うまでの時間が短くなりました。
手帳の存在は、目に見えない部分でも役立っていると感じています。
療育手帳の取得をめぐる葛藤と、周囲の反応に揺れた気持ち
一方で、療育手帳の取得は、親として心の整理が必要な場面もありました。
判定結果として「知的障害があります」と言われた瞬間、頭では覚悟していたつもりでも、胸の奥がぎゅっと締めつけられるような感覚がありました。
心のどこかで「違っていてほしい」という願いもありました。
また、同じ時期に申請した友だちの中には、手帳の対象にならなかった子もいました。

どうして、息子だけ対象になったんだろう…

やっぱり息子はみんなよりも発達が遅れているんだ…
そんな複雑な感情が湧き上がったのも事実です。
それでも時間が経つにつれて、療育手帳は息子を障害で区切るものではなく、必要な支援につなげるためのものだと実感できるようになりました。
療育手帳の取得は、親にとって決して小さな決断ではありません。
勇気のいる一歩ですが、その一歩を踏み出すことで支援の輪が広がり、子どもの成長をもっと安心して見守れる環境が整っていくと感じています。
まとめ|療育手帳で安心して子育てする環境を整えよう!
「療育手帳」と聞くと、誰でも最初は戸惑いや不安を感じる方も多いと思います。

本当に必要なのかな?

手帳を持つことで、何か変わってしまうのでは…?
わが家も、たくさん迷いながら療育手帳の取得を決断しました。
けれど、療育手帳を取得したことで、福祉や教育の支援につながりやすくなり、息子の特性を理解し受け止めてくれる人が増えました。
そして何より、「無理をしなくていい」「支援を使いながら進めばいい」と思えるようになったことで、子育ての負担や孤独感が少しずつ和らいでいきました。
療育手帳は、絶対に取らなければいけないものではありません。
でも、支援の必要性を感じたとき、前を向いて一歩踏み出すことで、子どもや家族にとって安心できる選択肢が増えます。
今回のわが家の体験が、同じように悩みながら子育てをしているママやパパにとって、少しでも参考になればうれしいです。



