
周りの子たちは箸で食べているのに、どうして息子はできないの?
息子が就学前のころ、余裕がなかった私は焦っていました。
さらに、小学校では箸で食べるのが基本だと周りから聞いて、箸が使えない息子の姿を見るたびに、不安を感じていた時期がありました。
ASD(自閉スペクトラム症)の特性をもつ息子は、こだわりや手先の不器用さがあり、箸の練習がなかなか進みませんでした。
それどころか、幼稚園入学時は手づかみ食べが中心で、スプーンでさえまともに使うことができませんでした。
でも、「どうやって教えたらいいの?」「エジソン箸を使うべき?」など、悩みながらも、少しずつステップを踏んで練習を続けてきました。
時間はかかりましたが、今では自分で箸を持って食べることができるようになりました。
この記事では、わが家のASD息子が箸を使えるようになるまでの練習ステップと、実際に息子が試したおすすめの箸を紹介します。
同じように悩むママやパパに、少しでもヒントになればうれしいです。
ASD息子が「箸」にたどり着くまでの道のり
息子が箸を持てるようになるまでには、長い時間がかかりました。
周りの子たちがスムーズにステップアップしていく中で、息子はゆっくりペースで少しずつ進んできたタイプです。
幼稚園入園時は手づかみで食べていた息子
一般的には、1歳過ぎからスプーンを持ち始め、3歳くらいのころには大人と同じようなスプーンの持ち方(おはしもち)で食べられるようになると言われています。
参考資料:スプーンの持ち方を発達段階ごとに紹介!練習のコツと使うアイテムの選び方を解説 | べびちぇる by リッチェル
しかし、3歳くらいのころの息子は、スプーンをわたしても持とうとせず、手づかみで食べていました。
幼稚園の給食の様子を見させてもらったことがありますが…クラスの子たちのほとんどがスプーンで、中には既に箸で食べている子もいて、手づかみで食べる息子は正直目立ちました。

スプーンの段階ですでに出遅れている…。
療育園でスプーンを使えるように成長
幼稚園に入園するも上手く適応できず、年少と年中の時期は療育園に息子と一緒に通いました。
そこで、療育園の先生たちの力を借りて、少しずつスプーンを使う練習を始めました。
最初は数秒でも持てたら褒め、少しずつスプーンを持てる時間や回数を増やしていきました。
上手くすくえずにこぼしたり、イライラして途中で放り出すこともたくさんありましたが、スプーンを待つ習慣を身につけらるように先生たちと一緒にフォローし続けました。
その結果、息子が4歳くらいのころにはスプーンをにぎりもち(スプーンを上からにぎる持ち方)で使えるようになりました。
小学校入学前でついに箸を使えるようになる
そして、箸を持てるようになったのは、小学校入学のほんの少し前でした。
親子共に何度も練習から逃げたくなりながらも、日頃、息子を見守ってくれている周りの方々の協力もあり、小学校に入る直前で通常の箸へとステップアップできました。
ASD息子の「箸の練習」がなかなか進まなかった理由
息子が箸を持てるようになるまで、とても時間がかかりました。
うまくいかない日が続くと、「どうしてできないんだろう…」と落ち込んでしまうこともよくありました。
でも、振り返ってみると、箸がなかなか使えるようにならなかったのは、息子の発達や特性が影響している部分が大きいと感じます。
ここでは、わが家が直面したつまずきポイントをまとめました。
発達の遅れによる運動面・指先の不器用さ
息子は精神面や言葉の発達に遅れがあります。
発達検査で「実年齢」と「発達年齢」の開きが一番大きかった3歳時点で、おそよ1歳半くらいの遅れがありました。

つまり、見た目は3歳だけど、中身は1歳半ということ…。
一般的には、3歳くらいから箸の練習を始める家庭が多いと思います。
でも、その場合、発達が遅れている息子にとっては1歳半で箸の練習をさせているようなものであり、無理が生じます。
周りの子に合わせずに、息子のペースで見守ることが大切だと気づきました。
食への興味がうすく、偏食があった
以前の息子は食べること自体にあまり興味がなく、食事は楽しくない時間でした。
さらに、2、3歳くらいの時は、偏食がひどくて食べられるものも少なく、パンや少しのご飯しか食べない日もありました。
そのため、そもそも食事の時間が短く、スプーンや箸を練習する機会が少なかったです。
まずは、食べられるものを増やして、食事の時間を楽しめるようにすることからのスタートでした。
つい親が手を出してしまい、自分でやる経験が少なかった
息子が小さい頃は、食べない息子に少しでも食べてほしかったり、手づかみ食べでこぼすのが気になったり、時間に余裕がなく私がやった方が早く済むと思ったり…。
さまざまな理由から、ついつい親が手伝ってしまうことが多かったです。
その結果、息子が自分でやるチャンスを減らしてしまったように感じます。
今思えば、少しくらい汚れても、どんなに時間がかかっても、「自分でできた!」経験を積ませてあげればよかったなと思います。
こだわりがあり、指示が入りにくい
ASD特性のひとつに「こだわりの強さ」がありますが、息子もまさにそのタイプ。
「こうやって持つよ」と言っても、独自のスタイルを貫くので、全然指示を聞いてくれません。
うまくいかないと怒って泣く息子と、全然聞かない息子にイライラする母。
このような状態になってしまうと、いくら練習しても逆効果です。
そんな時は一度ストップして、息子のこだわりがやわらぐタイミングや息子が自分でやりたい気持ちが出るのを待つことがおすすめです。

箸の練習に限らず、息子のペースで進めると、スムーズにいくことが多いです。
作業療法士に教わった!ASDっ子に合った箸練習のコツ
息子がスプーンの段階で苦労していたころ、息子が箸を持てるイメージができずとても不安でした。
そんなとき、療育で出会った作業療法士さんから教えてもらったのが、「もたせる」のではなく「楽しめる工夫をする」ことでした。
このアドバイスで、私の中の「練習=特訓」という考え方がガラッと変わりました。
ここでは、実際に作業療法士さんに教えてもらった3つのコツを紹介します。
コツ①お子さんに合う箸をいろいろ試してみる
作業療法士さんいわく、「お子さんに合う箸は、実際に使ってみないとわからない」とのこと。
手の大きさ・力の入り方・持ち方のクセなど、子どもによって異なるので、「いろんな箸を試した方がよい」とアドバイスをもらいました。
また、箸の練習をする時に、エジソン箸のようなサポート付きのものを利用する方が多いと思います。
ただし、エジソン箸は便利な反面、通常の箸の持ち方と異なるので、普通の箸への移行がスムーズにいかない子もいるそうです。
作業療法士さんからのアドバイス…最初に普通の箸でトライしてみて、本人が上手にできなくてイライラするようなら、楽しく食べるためにエジソン箸を使うのがよい。
息子の場合、通常の箸で試してみましたが、持つことすらせず全く進展を感じなかったので、箸で食べる経験を積むためにエジソン箸を使用することにしました。
「つまめた!」成功体験が増えることで、少しずつ箸への抵抗感が減っていったので、息子の場合はエジソン箸のステップは必要でした。
コツ②遊びの中で手や指を使う動きを増やす
箸を持つ練習だけに集中しても、息子の興味や意志がないと、練習に取り組むことですら難しかったです。
そこで、作業療法士さんに勧められたのが、「遊びながら練習する」方法です。

つまむ感覚や力加減を遊びながら身につけることができます!
コツ③箸の前に「鉛筆の持ち方」を練習するとスムーズ
また、作業療法士さんからのアドバイスで印象的だったのが、「箸より先に鉛筆の持ち方を安定させると、箸の練習がラクになる」というものでした。
お箸と鉛筆を握る手の形はほとんど同じで、親指・人差し指・中指の3本の指で支えています。
さらに、鉛筆を持つときに指先で力を加減する練習や、鉛筆を動かすときに手首をコントロールする練習にもつながります。
さて、作業療法士さんから学んだコツを紹介しましたが、私の中で、箸の練習をする上での一番大切なポイントは…

「焦らずに進めること」と「遊びの延長として楽しんで取り組むこと」です!
息子の場合も「練習しよう」と構えるより、遊びの中で自然に手を動かす時間を増やした方が、結果的に親子共に負担が少なく練習に取り組めたように思います。
小さな成功を積み重ねながら、楽しく続けていくことが、1番の近道のように感じました。
実際に効果を感じた!箸の練習に役立つサポートアイテム3選
作業療法士さんのアドバイスを受けて、わが家でもいろいろな箸を試すことから始めました。
いざ、箸を探してみると、たくさん種類があり、どんな箸を使えばいいのか悩みました。
そこで、今お子さんに合う箸選びに迷っている方のために、息子が実際に使ったアイテムを3つ紹介します。
①エジソン箸|初めての「つまむ感覚」をサポート
最初に息子が使ったのは、定番の「エジソン箸」です。
指を入れるリングがついていて、ストレスなくつまめて、箸で食べる経験を積むことができます。
ただ、息子は4歳でやっとスプーンをにぎって持つことができるレベルで、箸へのステップは遥か先のように感じていました。
ですが、指先の動きをしっかり安定してくれ、つまむ感覚をつかみやすいエジソン箸のおかげで、箸を使って食べるようになりました。
ASD息子が初めて使ったエジソン箸です//
②ステップアップ箸|慣れたらリングなしに移行できる
次のステップとして取り入れたいのが、「ステップアップ箸」です。
リングが1〜2個に減り、サポートが最小限になるので、「自分で持つ感覚」を覚える練習にぴったりです。
息子の場合も、切り替えた直後は少し苦戦しましたが、数週間続けるうちに慣れていきました。
ASD息子愛用の2本目の練習箸/補助リングを外してステップアップ箸としても活躍//
③六角知能箸|持ちやすく、自信を持って食事ができる
そして、最終的にたどり着いたのが、「六角知能箸」です。
一見、普通の箸に見えますが、六角形の形状が指先にフィットして、持ちやすく・滑りにくいのが特徴です。
息子が使用しているのはシンプルなデザインですが、使いやすいやすく成長段階に合わせてさまざまな長さがあり、今でも重宝しています。
ASD息子が長年使用している箸です//
ASD息子が箸を使えるようになるまで|家庭での練習ステップ
息子が箸で食べられるようになった今では、それが、あたりまえの日常になりました。
ですが、振り返ってみると、ここにたどり着くまでには小さなステップの積み重ねでした。
最初のころはつまずいてばかりで、何度も「できない!」と投げ出したり、私もついイライラしてしまったり…。
それでも「焦らず、息子のペースで進めよう」と意識したことで、少しずつ前に進むことができました。
ここでは、息子が箸を使えるまでに、わが家で実践した3つの練習ステップを紹介します。
STEP1|スプーンを「にぎりもち」から「おはしもち」へ
4歳ごろになって、ようやくスプーンを使って食べる習慣が安定してきた息子。
ただ、この頃はまだグー握りで食べている状態でした。

早く箸の練習を始めてみんなにおいつかないと…。
手づかみ食べからスプーンを使えるようになっただけでも大きな成長でしたが、周りの子と比べてしまい、私は少し焦っていました。
そんなとき、作業療法士さんから「まずはスプーンで手のひらを上にした持ち方をしっかりマスターして、それから箸へステップアップした方が楽ですよ。」と教えてもらいました。
息子の場合、ちょうど偏食の改善にも取り組んでいた時期だったので、食べる意欲を損なわないように気をつけながら、少しずつチャレンジ。
「1回だけやってみようね!」と声をかけながら、食事の始めや終わりなど、息子に合うタイミングを見つけて取り組みました。
STEP2|エジソン箸で「つかむ→口へ運ぶ」を体験
次に取り入れたのが、エジソン箸です。
スプーンの持ち方が安定してきたところで、いよいよ箸の登場です。
最初は「できない!」と拒否気味で、なかなか箸を持とうとしませんでしたが、何度かすすめていくうちに、少しずつリングに指を入れて動かせるようになりました。
このように、エジソン箸は、指の動きをサポートしてくれる便利なアイテムです。
しかし、その一方で、慣れすぎると普通の箸への移行が難しくなる場合があるそうです。
そのため、ある程度慣れてきたら、リングが少ないステップアップ用の箸に切り替えるのがおすすめです。
さらに、作業療法士さんによると、最初から普通の箸でチャレンジする方法が合うお子さんもいるそうです。

お子さんに合わせてトライしてみてくださいね!
STEP3|補助なし箸に少しずつステップアップ
エジソン箸に慣れてきたら、次はいよいよ補助なしの箸へ。
とはいえ、いきなり普通の箸に切り替えるのは難しいので、ステップアップ箸や六角知能箸を使いながら、少しずつ移行できるよう工夫しました。
この時期に意識していたのは、「無理に持たせない」「できたらしっかり褒める」の繰り返しでした。
「箸を使う=しんどい」と感じさせないことを何より大切にしました。
また、食事のときは基本的に箸だけを食卓に置くようにしていました。
最初は戸惑うこともありましたが、いつの間にか自然と箸を使うようになり、今ではスプーンと箸をメニューによって使い分けられるようになりました。
息子が箸で食べられるようになるまでには、たくさんの時間がかかりました。
まわりの子たちより遅れていることに焦った時期もありましたが…。

できるようになってしまえば、「早い」・「遅い」なんて気になりません。
少しずつステップを踏みながら、息子のペースで進められてよかったと感じています。
まとめ|焦らず、子どものペースで「できた!」を育てよう!
息子の箸の練習には思っていたよりもずっと時間がかかりました。
でも、息子のペースで少しずつできることが増えていくうちに、「早くできること」よりも「自分の力でできた」息子の成長を大事にしたいと思うようになりました。
ASDのお子さんにとって大切なのは「無理なく」「安心して」「成功体験を積み重ねること」です。
たとえ一歩ずつでも、「できた!」という小さな達成感を重ねていけば、必ず前に進めます。
エジソン箸やステップアップ箸などのサポートアイテムをうまく活用しながら、お子さんに合ったペースで進めていきましょう。
箸の練習にもつながる/手先の発達に役立つ知育玩具//


